どうせ、誰にも認めてもらえんだろうが…小説!書くよ!むっさ短い小説だ!!!
チリチリと時間が過ぎ行く。
カチリカチリと、時計は音をさせながらその役割を果し、春が栄、3月のカレンダーもめくらなくてはならなくなった。
太陽の冴える日和のことである。
ほのぼのとした公園。
色彩や絵柄に魅入られるように、いつしか彼女を見つめては少しの時間を惚けていたのだ。
名前なん(ナマエ ナンタロウ)太郎は、少しやつれた風貌であったが、まだ若い。
普通よりも遅れて社会の険道へと踏み入ったのだが、人付き合いには自信があった。
なん太郎はナンパというものをしたことはなかったが、声をついかけそうになるくらいに彼女は美人なのだ。
しかし、このまま通り過ぎるだけの人だ。ただ通り過ぎ行く…
そんな日常にはありふれたことが、当たり前で終わるのが、惜しいほどであったが、
気軽く声をかけることなど、出来るはずもなかった。
そんな風俗地味た展開など、小説や漫画の世界で十分だ。現実はいくら惜しくとも、やはりただ通り過ぎて行くだけなのだ。
ふいに電話が鳴って、ポケットから携帯電話を取り出すと、つまらない友人からの着信である。
なん太郎は大人になってしまった為か、数少ない友達さえも、つまらない存在に思えてしまう。
「もしもし、なんだ?」
「おう!おれや!僕!、私や!谷中や!」
谷中誰四志(タニナカダレヨシ)。この人物は、かなり痛い存在で、自分ではものすごく面白いことをいつも言っていると勘違いしている。ばか者である。
そして、周りの知人にとっての疫病神だ。
影では、病原菌とも呼ばれており、通称キンで通っていたりもする。
なん太郎は適当に電話を切ることにした。なんせ時間が勿体無い。そして、なん太郎は谷中に言った。
「いや、別に面白ないで。それにな。別に誰とか聞いてない。着信みたらわかるし。」
「本当は面白いと思ってるんやろ?ってか、名前くらいなのるっちゅうねん。」
「で、なんのよう?そか!とくに用事ないんか~!ほな切るな。バイ!」
プツン!
あからさまの着信取っ手から拒否だ。
谷中は電話を切られても動じたりはしなかった。彼は何かしらぬ自信があり、一人にやけて小言をもらす。
「ふふふ、電話切っても無駄やで!何しろ今お前の家の前におるんやからなぁ~!」
谷中は天然である。谷中は馬鹿である。従って谷中は、なん太郎の家のインターホンを押した。
勿論留守であった。
終
現実ってこんなんよね…
PR